2023年7月5日
商品に新たな価値を創る!人と自分を活かす環境づくり
常陸太田市 栗原玄樹(くりはら げんき)さん
いばらき農業アカデミー事務局(茨城県農業総合センター内)茨城県農林水産部 農業技術課
今回は、2023年8月1日に開催される「ヤングファーマーズ・ミーティング2023」の分科会講師の一人として登壇される、農業生産法人有限会社栗原農園代表取締役、栗原玄樹さん(36)を紹介します。
おいしく楽しく野菜とお米で笑顔に!~栗原玄樹さん~
施設野菜経営農家の2代目として、常陸太田市でコネギやサラダ用野菜、ハーブ等の水耕栽培と水稲作を営む栗原さん。これまで、顧客を大切にしながら、主力であるコネギの付加価値販売等により経営を発展させてきました。
栗原さんが農業に興味を持ち始めたのは、調理師を目指して都内の調理学校で勉強していた頃。在学中にアルバイトをしていたイタリアンの創作料理店で、シェフや従業員が食材である野菜とその生産者を尊重する様子に接したことがきっかけです。そのとき「野菜を作るところからお客様の口に入るところまでが繋がった」と感じ、実家が生業としていた農業を「一生の仕事」として志すことを決心しました。
農業を一から学ぶため県立農業大学校へ入学し、卒業後の2007年に実家の栗原農園に就職。2016年には、いばらき農業アカデミー「リーダー農業経営者育成講座」を受講する等、経営発展の方策について考えを深めました。そして2017年、代表取締役に就任しました。
栗原農園は「おいしく楽しく 野菜とお米で笑顔に!」をモットーに、農業を通して多くの人々に笑顔になってもらうことを目指しています。「おいしいものを楽しく届け、自分たちも楽しく働きたい」というのは、栗原さんの就農当初から変わらない考えです。
適切な労務管理が、従業員のやる気、ひいては育成に繋がる
栗原さんは、代表取締役に就任する前から、経営発展のためには優秀な従業員の確保が重要と考え、これまでに労働条件や労働環境の整備、従業員の育成等に力を入れてきました。現在、栗原農園では、社員は有給休暇を100%取得し、残業代も1分単位で支給されています。近年、法人就農者の割合は増加傾向にありますが、管理職として仕事を任せられる人材となると確保が難しいのが現状です。栗原さんは、適切な労務管理を行うことで求人への応募が増え、優秀な人材の確保にも繋がっていると話します。
「社員の育成をしていくときに労務に問題があれば、“社長は理念ばかり語っているけれど、残業代も出ていない”となってしまう。」従業員の立場に立った適切な労務管理が、従業員のやる気、ひいては育成に繋がっていきます。さらに、人事評価とそれに基づく給与体系も従業員のやる気を引き出す重要な取組の一つです。現在は、これらの取組が功を奏し、栗原農園の従業員は、社長の指示がなくとも自ら考えて的確に判断し行動できるようになったそうです。
「考える従業員」の育成により社長は新しい取組に専念
育成の目的は“自分で考える従業員”になってもらうこと。「新しい分野を開拓していくことが社長の責務でありまた喜びでもある。社長が新しい取組に専念できるよう、社員には常に自分で考えて動いてほしい」と言います。また、「農業をしたくて農家をやっているので、現場に出たいが、経営者としてもやるべきことがある」と語る栗原さん。売り上げを伸ばすことだけが経営発展ではなく、経営者として新しい取組を進める際には、常にそのバランスを考えなければならないと話します。
農業は、自分の能力やアイデア次第で、成功を勝ち取ることができる~今後の経営展開~
栗原さんは新しく、主力であるコネギを加工した「ネギキムチ」を開発し、付加価値をつけた販路開拓により経営を発展させています。「ネギキムチ」は量販店や道の駅ひたちおおた、ホームページからも購入できます。
また、県外への情報発信の手段として、TikTokで「ねぎニキ(@neginiki_negikimuchi)」として活動し、動画は100万回以上再生されています。「農業は、自分の能力やアイデア次第で、成功を勝ち取ることができる。それが農業を志した動機の一つでもある」と話す栗原さん。売り上げも順調に伸びており、今後は効率的な生産体制整備のため、自社敷地内の加工設備建設に意欲的です。
地元に3つしかない農業法人の経営者として、地域農業の未来を担う存在となっている栗原さん。将来の展望を伺うと、「地域全体が維持できる企業になること。」と地元に根ざした目標を掲げており、そのために地域の核となる経営者仲間を必要としています。
常に、新しい取組にチャレンジして経営発展を続ける栗原さん。本記事では、栗原さんの取組や考え方の一部しかお伝えできませんでした。社長「栗原玄樹」さんのお話を直接聞き意見交換されたい方は、ぜひ「ヤングファーマーズ・ミーティング2023」分科会にお越しください。
開催日 | 8月1日(火) |
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時間 | 13:30〜16:15 (第1部 基調講演 13:45〜14:55、第2部 分科会 15:15〜16:15) |
開催場所 | ザ・ヒロサワ・シティ会館 小ホール |
申込締め切り | 7月14日(金) |
第6回となる今回は、奈良県から、魅力ある有機農業経営を目指して分業制や販路開拓をすすめている、有限会社山口農園代表取締役 山口貴義さんを招致して基調講演をいただくほか、4つの分科会では地域農業をけん引する県内農業経営者の経営理念や取組をお聞きいただけます。
今回ご紹介した栗原さんは、第2分科会にて講演します。
その他の講師や内容等は、ヤングファーマーズ・ミーティング2023のご案内ぺージをご覧ください。