県では、農作業安全対策に役立てるため、毎年、各市町村と連携し、県内の農作業事故の発生状況について調査をしています。
以下に、県内における農作業事故の発生状況について説明します。
農作業事故発生件数の推移と年齢構成
近年、県内では年間200件前後の農作業事故が発生しており、令和3年は161件と、令和2年と比べ67件減少しました。また、農作業事故により毎年10名前後の方が亡くなっています。
事故の発生状況を年齢別に見ると、特に60歳以上の高齢者の方の割合が高く、7割以上を占めています(表)。
区分 | 20歳 未満 |
20~ 29歳 |
30~ 39歳 |
40~ 49歳 |
50~ 59歳 |
60歳 以上 |
不明 | 計 | うち 死亡者数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
H29 | 1 | 3 | 12 | 8 | 21 | 150 | 15 | 210 | 5 |
H30 | 0 | 12 | 5 | 7 | 23 | 163 | 6 | 216 | 9 |
H31 | 1 | 10 | 10 | 17 | 19 | 197 | 0 | 254 | 10 |
R2 | 3 | 8 | 15 | 9 | 21 | 172 | 0 | 228 | 8 |
R3 | 1 | 5 | 6 | 14 | 12 | 120 | 3 | 161 | 12 |
農業機械別の発生状況
令和3年の農業機械別では、トラクター19件(12%)、次いでコンバイン・バインダー7件(4%)、刈払機6件(4%)の順で多く発生しました。
また、農業機械以外の事故は101件(63%)発生しています。その内訳は、熱中症を含む作業中の体調悪化・病気が49件(30%)、転倒・転落等が20件(12%)、ハチに刺されたりヘビに嚙まれるなどの被害が7件(4%)などとなっています(図1)。
発生時期は夏場に多い
令和3年の時期別の発生状況では、8月に26件、7月に24件と特に夏場の発生が多く、その要因としては、熱中症を含む体調悪化や、作業中のハチやヘビなどの被害によるものが多くなっています(図2)。
農作業の安全確保に向けて
県内における農作業事故の発生状況をまとめると、①高齢者の割合が高い、②農業機械別ではトラクターによる事故が多く、農機以外の事故では、熱中症を含む体調の悪化や転倒・転落による事故が多い、③春、秋の農繁期だけでなく夏場の発生が多い状況です。
安全に農作業を行うためには、農業機械を定期的に点検・整備することはもちろんのこと、日々の体調管理をしっかり行い、特に気温の高くなる夏季にはこまめに休憩をとりながら農作業をすることを心がけてください。
シートベルトを着用しよう
令和2年の全国の農作業死亡事故を要因別にみると、農業機械作業に係る事故が186人(68.9%)と最も高い状態であり、そのうち、乗用型トラクターに係る事故が81人と最多です。また、その中でも機械の転落・転倒による死亡者が53人と、乗用型トラクターの転落・転倒が農作業死亡事故の最大の要因となっています。
安全キャブ・フレームを装着することで、トラクターの転落・転倒時に安全域を確保してくれます。また、シートベルトを着用することで、安全域にとどまることができます。
シートベルト着用の有効性は、数字でも裏付けられています。乗用型トラクターなどの農業機械による交通事故(H27~R1)では、シートベルト着用の場合の死亡者の割合が3.2%に対し、シートベルト非着用の場合は24.5%と、シートベルト着用の場合は着用していない場合に比べ、死亡事故の割合はおよそ1/8となっています。
トラクターを運転するときは、安全フレームを立て、シートベルトを着用し、また、ヘルメットも着用しましょう。