6次化と聞くと、農家が「加工食品の製造・販売」まで一貫して行うイメージが強いですが、地域の食品事業者と連携して委託加工により製造し、直売所やネット販売等のEコマース(電子商取引)を活用した販売を行う場合もあります。
また、観光農園や農家レストラン経営など、地域資源を活かしたサービスの提供など、その取組は多岐にわたります。
今回は6次化に取り組む際の手順と、茨城県が主催する講座やサポート体制について紹介します。
6次化の事業計画を考えよう
6次化に取り組み、儲かる経営を目指すためには、事業計画を作成し、実行することが重要です。事業計画は、図のステップ1~4の手順を例に、具体な数値的目標を立て、ターゲットとする客層にどこで何を売るか、誰と取り組むか、施設整備や技術習得のスケジュール感を明確にしながら作成します。
事業計画の内容は、ステップ5、6の準備活動や実践をもとに適宜見直します。県は、こうした事業計画作成の知識を体系的に学ぶ場として、県内の農業者を対象とする「いばらき農業アカデミー」でも、6次化に関する講座を開催しています。
「令和4年度アグリビジネス基礎講座」より
いばらき農業アカデミーの講座を上手に活用しよう
いばらき農業アカデミーでは、6次化の発展段階に合わせた講座を開催しています(表)。
入門編 | 基礎編 | 実践編 | |
---|---|---|---|
該当講座 | ●6次産業化促進講座 (入門コース) |
●アグリビジネス基礎講座 | ●6次産業化促進講座 (ステップアップコース) ●食品衛生講座 ●商談スキル向上講座 |
対象者 | 6次化の取り組みに 興味がある者 |
6次化を経営の 1部門として開始する者 |
食品営業許可を取得する者 または、有している者 |
研修内容 | ●入門として 基礎知識全般を研修 ・事業計画の立て方、 製造原価の考え方等の 知識習得 ・基礎的な加工実習 |
●経営の土台となる 事業計画作成 ・事業計画作成 ・商品開発と販促活動 ・優良事例から学ぶ ビジネスモデル |
●衛生管理を重視した 技術引き上げ ●商品分析による販路拡大 ・商品差別化とPR ・HACCPの考え方に 基づく衛生管理手法の習得 ・食品表示の知識習得 |
講座では、新しい販売方法に挑戦し、経営発展を目指したい方々が、講義やグループワークを通じて6次化に必要な知識を体系的に学ぶことができます。目的に合わせて講座を選び、発展段階に合わせた知識の習得にご活用ください。
今回は、「6次化産業化促進講座(入門コース)」と「アグリビジネス基礎講座」をご紹介します。詳しい講座内容や受講申込の方法は、「いばらき農業アカデミー」HPをご覧ください。
●6次産業化促進講座(入門コース)
これから6次化に取り組むために基礎知識を学びたい方には、6次産業化促進講座(入門コース)をお勧めします。4回程度の集合研修を通して、6次化の取組に必要な考え方、商品づくりの手順、食品の衛生管理など事業計画作成のポイントを広く学べます。
また、グループワークを通じて自身の計画を他の受講生と共有し、考え方を整理することができます(写真)。
●アグリビジネス基礎講座
6次化を経営の一部門として位置づけ、本格的に取り組み始める方や、自らの事業計画を見直して商品づくりに活かしたい方には、「アグリビジネス基礎講座」がお勧めです。
令和4年度は、全6回の講座を通して、自らの事業計画作成と磨き上げを行いました。講座の最終日には、受講生が考えた事業計画を発表し合い、専門家から助言を受け、実践に向けて歩み始めています。
サポート体制の紹介
●普及指導員が支援します!
開始にあたっての情報収集や事業計画づくりは目標達成の土台づくりであり、結果的に成功への近道となります。
各地域の農業改良普及センター(以下、普及センター)は、6次化の身近な相談窓口として、関係機関や専門家と連携し、意欲ある農業経営者の取組を支援しています。
●茨城農山漁村発イノベーションサポートセンター
経営改善戦略や商品開発、販路開拓など、それぞれの課題に対応した専門家を派遣し、6次化を含む農山漁村発イノベーション(注1)に取り組み経営改善を図ろうとする事業者を支援しています。専門家による支援を受けるには、センター内に設置された地域支援検証委員会で支援対象者として選定される必要があります。
支援を希望される方は、各地域の普及センターにご相談ください。
●茨城県農産加工指導センター
試作加工試験等のできる施設を併設し、6次化に取り組む農業者を対象に、普及センターと連携して商品化に向けた加工技術の習得を支援しています。主な内容は次の通りです。
・商品化のための加工技術指導・包装・食品表示等の助言
・HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の指導
・加工施設の設置および加工機材導入計画の支援
事業計画や加工上の課題が明確になっていると、効果的な技術指導を受けることができます。
支援を希望される方は、管轄の普及センターにご相談ください。
これから挑戦する方へ
前述の支援体制を活用して6次化の取組に必要な知識を習得し、事業計画を考え、一歩ずつ進めましょう。
国では、令和4年から、これまでの6次化を発展させた、「農山漁村発イノベーション」への支援をスタートさせました。「農山漁村発イノベーション」とは、農林水産物や農林水産業に関わる多様な地域資源を活用した新規事業や付加価値の創出により、農山漁村における所得と雇用機会の確保を図る取り組みです。広い意味で、6次化も農山漁村発イノベーションに含まれます。
各相談はこちらへ
■いばらき農業アカデミー
(事務局:農業総合センター企画調整課)
電話 0299-45-8321
■茨城農山漁村発イノベーションサポートセンター
((公社)茨城県農林振興公社内)
電話 029-239-7131
■茨城県農産加工指導センター
(農業総合センター園芸研究所内)
電話 0299-48-2801