農産加工指導センターは、各農林事務所経営・普及部門および各地域農業改良普及センター(以下、普及センター)等の関係機関と連携して、茨城県内の6次産業化に取り組む農業者や、これから取り組もうとしている農業者等を対象に、いばらき農業アカデミー6次産業化促進講座や6次産業化オープンラボラトリー(以下、オープンラボ)、現地指導などを通して、農産加工に関する加工技術や衛生管理について指導を行っています。
オープンラボ施設には、様々な目的に応じた加工機器(表)や器具を取り揃えており、農産加工品の商品化に向けた試作や改良、加工機器を導入する際の事前検討等のために利用することができます。オープンラボに設置されている加工機器は、随時導入や更新を行っています。様々な機器を配備することにより、アカデミー講座内容の充実を図るとともに、オープンラボ利用者のニーズに対応しています。近年では、多機能小型粉砕機(石臼式)、液体充填機、金属検出機、トップシーラー等を配備しました。
最初に「事業計画」を立てましょう
6次産業化に取り組むにあたっては、まず「事業計画」を立てるところからスタートします。普及センターや専門家の意見も取り入れながら計画を立てることができたら、次に製造上の留意点を整理するためにも、「製品説明書」を作成します。食品衛生法に基づく規格基準がある商品の場合は、その基準が遵守できるかを試作の過程で確認する必要があります(農業いばらき第74巻3月号 技術と経営「加工」参照)。
加工施設を立ち上げる際には、製品の加工工程に応じて衛生管理の区域分けができる製造動線、製造量に適した能力の機器選定や機器の配置などを考える必要があります。また、換気設備の位置やフードの大きさ、電源や水回り(シンク、排水溝等)の配置など細かな点についても検討が必要です。オープンラボ施設を利用することで、ご自身の事業計画を遂行するためのヒントが得られると思います。
商品化に向けた課題の解決も支援
図にオープンラボ利用の流れを示します。試作に用いる材料や資材等は、利用者本人に用意していただきますが、施設の使用料は無料です。また、オープンラボを有効活用していただくために、施設の利用前にご自身で何度か試作をしてみることをお勧めします。事前の試作で浮き彫りになった課題をオープンラボを利用する前に提示してもらうことにより、技術指導員も一緒に情報収集を行い、課題解決に向けて支援します。
オープンラボでは、利用者の目指す商品に応じた加工技術や機器の選定、品質管理、衛生管理などについて、技術指導員の助言を受けながら試作を行い、商品化や商品改良を目指します。
例えば、加工機器の導入を検討している場合、実際に機器を使用してみることで、作業の効率化や作業負担の軽減を実感することができます。手づくりの良さを活かしつつ、機械化を取り入れることで、6次産業化の取組を継続することが可能となります。
すでに営業許可取得済みの加工施設がある方に対しては、現地に技術指導員が伺い、現場にある機器を使った試作の支援や、加工工程、衛生管理での改善ポイントを明確化するための支援を行っています。
6次産業化促進講座・ステップアップコースで新規導入機器を紹介
いばらき農業アカデミーでは、6次産業化に関しても様々な講座を設けています。既起業者が、加工技術のスキルを磨くための「ステップアップコース」では、新規に導入された機器の紹介も行っています。
昨年度実施した干しいもの加工やペースト加工の講座では、「金属検出機」を用いて最終製品の検品を行い、検査のタイミングやポイント、機器の特性などについて実習を行いました(写真)。
今年度の講座でも、新規導入機器の紹介を兼ねた講座を計画していますので、起業者の皆様の参加をお待ちしています。