今回は、6次産業化の優良事例として、ひたちなか市の株式会社住谷公商店(以下 住谷公商店)における商品づくりの考え方や取組を紹介します。
時代の変化に合わせたカンショ加工品を開発
住谷公商店(代表取締役 住谷まさ美氏)は、ひたちなか市でカンショを5ha栽培し、6次産業化部門では、カンショ加工品を製造・販売しています。
「時代(客)の変化(ニーズ)に合わせた魅力あるカンショ加工品を開発」することを重要視しています。さらに、販売を安全に継続するために、「HACCPに沿った衛生管理」を実施しています。
「いばらき農の6次化商品コンテスト」において2年連続金賞受賞!
住谷公商店が製造・販売するカンショ加工品を紹介します。各商品には「消費者目線」により考えられた差別化につながる工夫が施されています。
また、県農産加工指導センター主催の「いばらき農の6次化商品コンテスト」において、令和4年度に「PAKiPOKi」と「プッチーモ」、令和5年度に「焼きいも蜜っちゃん」が金賞(茨城県知事賞)を受賞しています。
●干しいも
原料いもには、黄金色で甘味が強くやわらかい食感の「べにはるか」、粘りがあり濃厚な味わいの「泉13号」の2種類を使用しています。数種類のパッケージを用意して、様々なシーンでお土産として利用可能です。
●プッチーモ
干しいもを一口サイズにして、コンパクトなチャック付袋に入れることで食べやすさと携行性を高めました。おやつやドライブにぴったりの商品です(平干し、丸干しの2タイプ)。
●焼き芋スナックPAKiPOKi
甘さを引き出すために、焼きいもをじっくりと焼き上げ、砂糖や油を一切加えず糖度50%前後のスナック菓子に仕上げました。皮付きと皮なしがあり、商品名の通りパキポキとした食感が特徴です。おやつ、ビール、ワイン等のおつまみに最適です。
●焼きいも蜜ちゃん
焼きいもを食べやすい大きさにしてひとつずつ個包装しました。食べたい分だけ取り出して、残りはチャック付袋で保管できます。「蜜ちゃん」は、住谷公商店のイメージキャラクターで、観光地を案内するなどお客様を楽しませてくれる存在です。
6次産業化により得られた成果
●販売先が拡大!
住谷公商店オンラインショップのほか、JR、ホテル、百貨店、大手スーパー、道の駅、地方の市場に販路を拡大できました。
●売上が向上!
令和2~5年の3年間で、売上は2倍に向上しました。さらなる売上向上のために、商品開発や商談を行っています。
●複数の賞の受賞・推奨品認定!
「いばらき農の6次化商品コンテスト」のほか、「みんなが贈りたい。JR東日本おみやげグランプリ2022」メモリアルイヤー賞、「全国推奨観光土産品審査会」では優秀賞を受賞。また、「全国推奨観光土産品」「ひたちなか市観光協会推奨土産品」に推奨され、対外的な商品PRにつなげています。
6次産業化で経営発展するための考え方
異物混入や食中毒などの食品事故を防ぐため、「HACCPに沿った衛生管理」では、どの作業工程に危害要因があるか分析を行い、また、新商品の試作ではトライ&エラーを繰り返しました。商談会や販売促進イベント、地元商工会等での活動に参加するなど、商品PRと情報収集にも余念がありません。
6次産業化で経営発展するには次のような考え方が重要だと、住谷社長は話します。
●自社商品が世に出回っている事に意識を持つ
食品事故が発生すると一気に信用を失うため、商品に責任を持って製造・販売に取り組むことが重要です。
●消費者の視点に立って商品を開発する
様々な利用シーン、子供も食べやすい、保管しやすいなど、常に消費者目線を意識して商品を開発することで、他の商品との差別化につながります。
●商品開発の段階で「どこに売りたいか」を想定する
販路開拓は商品構想を考える段階から始まっています。商談の場をイメージをしながら商品を開発することで、商品の特徴や他の商品と違う点などの商品説明がまとめやすくなります。併せて、営業活動は地道に「足で稼ぐ」ことも重要です。
【衛生管理の徹底】
住谷公商店では、特に衛生管理に留意しており、「HACCPに沿った衛生管理」により、これまでの加工場環境を一から見直しました。「人々の健康に寄与、無添加の商品づくり、衛生管理の徹底」という経営理念のもと、消費者から信頼されるために安全・安心な加工品製造に取り組んでいます。
【積極的なPR活動】
住谷社長は商談や販促イベント、地元商工会等の活動に参加するなど商品PRにも余念がありません。「茨城デスティネーションキャンペーン」への参加や、ひたちなか市観光協会とひたちなか市が運営している「SHIO_KAZE」の取材を受けるなど、「足で稼ぐ」営業活動に絶え間なく取り組んでいます。
6次産業化による経営発展を検討されている農業者の皆様は、今回の事例を参考にしてみてはいかがでしょうか。