茨城県は、儲かる農業を実現するため農産物の付加価値を高める6次産業化を推進しており、農業総合センターでは農産加工指導センターを中心に、6次産業化を実践する農業者が販売する商品の商品性向上、新たに6次産業化に取り組もうとする農業者など6次産業化により経営の安定、所得向上を目指す経営体を支援しています。
本コンテスト(旧称:農産加工品コンクール)は、平成12年から開催しており、農業者が自ら生産した農産物を原料として加工、販売している商品を対象に、各方面の専門家が食味や包装デザイン、商品性、衛生管理方法等の視点から総合的に審査、評価するものです。
令和5年度は12月6日に審査会・表彰式を開催し、金賞(知事賞)2点、特別賞(農業総合センター長賞)4点を決定しました(写真1・表)。すべての審査項目について優秀と認められるものが金賞、各審査項目について優秀と認められるものが特別賞です。
商品名 | 出品者名 | 市町村名 |
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ぶどうジュース(常陸青龍) | 武藤観光農園 | 常陸太田市 |
焼いも蜜ちゃん | (株)住谷公商店 | ひたちなか市 |
商品名 | 出品者名 | 市町村名 | 表彰名 |
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ほしいもピール パウンドケーキ |
永井農芸センター | ひたちなか市 | 賞 |
カサマロンモンブラン | (株)アドバンフォース | 笠間市 | 県産素材賞 |
FUKASAKU FARM ジェラートセット |
農業法人深作農園(有) | 鉾田市 | 製造技術賞・ギフト賞 |
カリカリおさつ 黒コショウ味 |
(株)ひのでや お芋屋さんのお店サンパタータ |
かすみがうら市 | 目にとまる デザイン賞 |
6次産業化で儲かる農業を実現するには
コンテストの審査会では出品者から、原料の特長、栽培のこだわり、味の特長や商品の売り、販路拡大の展望、ターゲット層、喫食・利用シーンなどについてプレゼンがあり、その後7名の審査員による外観審査、食味審査を行いました。
今年度の出品商品の特徴としては、地域の特産物である農産物の特性を最大限に活かした商品、生産の現場における環境負荷低減や社会貢献を意識した取組など農産物の付加価値+地域での付加価値づくり商品が目立ちました。審査員からは、それら付加価値向上と合わせて、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理、正しい食品表示の重要性が強く訴えられました。
6次産業化により儲かる農業を実現するためには、消費者ニーズを捉えた商品性・品質の高いものづくり、徹底した衛生管理による安全性の確保、安定した生産体制の構築、販路の確保などが重要となります。
ポイントとしては、商品のターゲットを明確にすること、ただ加工するのではなく「売れる」商品である、消費者と共感できるストーリー、買って「幸福(価値がある)」になる商品、手に取ってもらうためにパッケージや表示にもこだわりを持つことです。衛生管理の徹底を図り、消費者にとって価値のある商品を「届ける」意識をもって開発をしてみましょう。
IBARAKI senseで消費者との交流
受賞した6商品は、各種メディアや情報誌、県公式のホームページ・SNSを通じて情報発信しました。翌年2月17~18日には、東京銀座にある県アンテナショップ「IBARAKI sense」で数量限定の販促イベントを開催し、農業者が消費者の意見を直接聞き、交流する場をもうけました。2日間合計の来店客数は5,500名以上と大変盛況で、ほぼすべての商品が完売となりました。来店客からは「ブドウってこんなに甘いの?」「生の果実を食べてみたい」「干しいもを作る中でこんな取り組みがあることを知らなかった」「パッケージが可愛い」等の声が聞かれました。
イベントに参加した農業者からは「このような販路拡大の機会を作っていただけて有難い」「消費者と直接関わる機会を得られてよかった」「商品への理解を得るために消費者に説明する必要があると思っていたが、実際に取り組みを上手に伝えることが難しかった」等の感想があり、消費者交流の機会を有意義に感じていただけました。
6次産業化を支援します
本コンテストへの参加を通して、県内の6次化起業者同士の繋がり、加工技術の向上、加工に伴う衛生管理や食品表示等の見直し、継続した商品のブラッシュアップ等により、より良い商品が生まれております。当センターもさらなる6次産業の発展および6次化による農業経営体の所得向上を目指し、今後も継続した支援を実施してまいります。また、コンテストでは開発した商品の求評も行っております。商品性、改善点等審査員より意見をもらうことができます。今年度もコンテストを予定しております。ご参加お待ちしております。