・茨城県におけるメロン生産の状況と需要に応じた取り組み
・本県産メロンの販売戦略 ~「イバラキング」のブランド化に向けた取り組み~
・土地と気候と生産者の努力が作るおいしいメロン
・園芸研究所におけるメロン栽培技術研究の取り組み
・茨城県におけるメロン新品種育成の取り組み ~新品種開発の研究最前線~
その後、平成に入るとメロンの生産量は減少傾向に転じましたが、平成10年以降は全国一位の生産量と産出額を維持しています。令和3年度の本県産メロンの作付面積は1,210㏊、出荷量は31,600t、産出額は令和2年度で112億円となっています。
4月~10月にかけて豊富な品種の旬を味わう
県内の鉾田市、八千代町、茨城町は、メロンの栽培に適した比較的温暖な気候と水はけの良い火山灰土壌により、メロンの主産地となっています(図1)。また、鉾田市や茨城町のメロン産地は、販売金額や市場価格等の厳しい要件をクリアした産地を県で指定する「青果物銘柄産地」に指定されています。
果実の肥大性が良く、糖度や品質が安定する県オリジナル品種の育成
本県産メロンの主な作型である半促成メロンでは、主にパイプハウスを利用し、加温をせずに12月から苗を定植して、4月下旬~6月にかけて出荷されます。寒さの影響を受けやすいため、パイプハウスの中には、内張りのビニールのカーテンやトンネルを何枚も重ねて被覆して保温しており、きめ細かな温度管理が必要とされます。
特に、4月下旬~5月収穫の作型では、生育期が低温で日照が不足し、果実の小玉化や糖度不足による品質低下が問題となるため、その対策の一つとして本県では果実の肥大性が良く、糖度や品質が安定する県オリジナル品種を育成しました。茨城県のメロンの王様“キング”として茨城を代表するメロンとなるよう、「イバラキング」と名付けられ、現在、鉾田市や茨城町を中心に県内で約44㏊(令和3年産)生産されています。「イバラキング」は、爽やかな甘さや果肉のみずみずしさ等の点が、消費者や実需者等からも高く評価され、認知度も高まっています。
輸出の拡大や多様なニーズに応えるために
これまで本県のメロン産地は、良食味のメロンを広く消費者に届けるため、家庭向けの値頃感のあるメロンを中心に生産してきました。近年、県では多様な顧客ニーズに応えるため、海外に向けた輸出の拡大やスイーツ用の加工品の開発等、各メロン産地の取り組みを支援しています。特に、令和5年度からは、本県産メロンの認知度や農業者所得のさらなる向上を図るため、贈答等に適した高級なメロン生産に取り組んでいます。外観の美しい高級メロンを生産するための生産技術実証や、「イバラキング」の中から逸品を選ぶコンテストの開催等について、各産地と協働して進めています。
茨城県では、今後も質と量ともに日本一のメロン産地としてさらなる発展を目指します。