JA稲敷が今回設置したものは、インターネットを利用して補正データを送信するネットワークRTK基地局と呼ばれるもので、半径約30km以内をカバーができるため、JA稲敷管内全域で利用が可能です。
「ジャパンアグリサービス株式会社」より
担い手の労働力の確保と作業の効率化のために
JA稲敷は、稲敷市・河内町・美浦村安中地区の水郷エリアを管内とし、3つの区域(東部・西部・中部)に分け事業を展開しています。この地域は、県内有数の農業地帯であり基幹作物は水稲です。広大な水田農地を有しており、早場米やミルキークイーンの産地としても知られています。豊富な水資源と、肥沃な土壌に恵まれた農業環境ではありますが、一方で高齢化による離農や、就農人口減少による地域担い手への農地委託が年々増加しています。
担い手の経営面積が拡大する中で、労働力の確保と作業の効率化が課題となっています。そこで、農業経営の安定確立を図り、地域農業の発展と農業所得向上を実現させることを目的として、3地区の中で最初となるJA稲敷西部地区担い手農業経営研究会が令和元年7月に設立されました。
研究会を通し、担い手との意見交換を進める中で、スマート農機の活用方法の周知や活用しやすい環境の整備が、担い手の課題解決につながると考え、JAとしてRTK基地局の設置に取り組むことになりました。
補助事業を活用
取り組むにあたり、「茨城県スマート農業導入支援事業」を活用し、RTK基地局の設置と生産者のスマート農機の導入を一体的に整備しました。
今回導入した自動操舵装置は、メリットとして既存の農機に装着することができるため、新たに農機を購入することなく導入が可能で、コストを抑えることができます。
自動操舵装置を活用するときに、RTK基地局からの補正情報を受ける事で、農業機械の運転に慣れていない方が操作しても正確な作業ができるようになります。例えば、畔塗り作業等の高い精度が求められる場面でも、基地局からの位置補正情報を受ける事により、正確な作業を行うことができます。
さらなる活用に向けて
スマート農業技術は日々進歩しており、それだけ活用の幅が広がっています。JA稲敷では今回設置をしたRTK基地局を、スマート農機が活用しやすい農業インフラ整備の一つと考えています。
管内の多くの生産者に利用していただくために、RTKを活用した自動操舵やドローンの自動飛行などの展示を行い、スマート農業をもっと身近に感じていただくことで、今後の農業への活用支援を進めていきます。