龍ケ崎市でも担い手への農地集積が進み、大規模な水稲経営体が増加しています。一方で、農地の集約化は依然として進んでおらず、担い手同士の耕作地が混在した状況にあり、生産効率改善を妨げる要因となっています。水稲経営体では、農地の集約化をいかに進めるかが課題となっています。
推進員と関係機関がチームを組み調整
このような課題を解決するため、市は「農地集約型大規模水田経営体育成加速化事業」に手を上げました。事業実施主体となる5件の担い手は、市が公募を行い、最終的に県が選考し決定しました。
本事業の推進にあたり、2名の推進員を採用しました。推進員には市内の農業者をよく知る方が就任し、担い手と地権者、耕作者の調整に当たっています。
また、担い手、市、県南農林事務所(企画調整課、稲敷普及センター)で推進チームを組織し、推進会議を月1回程度開催しています。会議では、大きな地図を広げ、事業エリアの設定や、交換可能な農地の検討を行っています(写真1・2)。
本事業を地域住民に周知するため、初めに事業紹介のチラシを回覧板で全戸に配布しました。その後、地権者、耕作者、区長を対象とする事業説明会を7回開催し、様々な質問が寄せられました(写真3・4)。説明会には県外から参加する地権者もいました。
生産性の高い農業経営をめざす
事業説明会に合わせてアンケートも実施し、現在または将来の担い手の状況を調査したところ、すぐにでも担い手を探して欲しいといった回答もありました。今後、回答のあった農地について、推進員がさらなる情報収集を行い、条件に合う農地を担い手にマッチングしていきます。
令和4年度は、農地が混在していた3件の担い手で農地交換した結果、約34haの交換が成立しました。担い手は「この事業をきっかけに、これまで非効率だと感じていた農地を交換することができ、経営改善につなげることができた。」と話し、初年度から事業効果を実感していました。
今後は、2名の推進員が中心となり、地権者や耕作者への巡回を継続するとともに、地権者や周辺耕作者と協力しながら、2年の間に空き農地や交換可能農地の掘り起こしを行っていきます。また、集積した農地については、畦畔除去等により作業性をさらに向上させ、担い手による生産性の高い農業経営を実現していきます。