JAやさとでは、生協等との取引で1995年に始まった「やさとグリーンボックス(やさとの農産物の詰め合せ)」に、有機野菜を一部加えた詰め合わせを販売したところ、好評価を得たことがきっかけで、有機野菜の単品販売を開始しました。そこで、有機農産物の生産拡大を図るため、1997年に7戸の生産者で「JAやさと有機栽培部会」を設立しました。現在では32戸が部会に所属し、有機栽培のレタス、ニンジン、ネギ、キュウリ、コマツナ等、約40品目を生産しています(写真)。
土づくりへの強いこだわり
JAやさと有機栽培部会では「安全・安心」な農産物を求める消費者のために、種まきまたは植付け前2年以上、化学肥料や化学農薬を使用していないことを確認した圃場で、化学肥料や化学農薬を使用しない栽培をしています(表・図1)。
【基本理念】
1.21世紀型日本農業の追求
2.環境保全型農業のさらなる発展と地球農業の活性化
3.生産者の主体性の回復
4.安全で豊かな食生活のための食べ物の生産
5.消費者への情報開示
部会では、土づくりに強いこだわりを持ち、地域内の資源(地元農家から供給される家畜ふん尿、稲ワラ等)を活用し、環境に配慮した持続可能な資源循環型農業に取組んでいます。病害虫対策では、輪作を基本とし、緑肥や防虫ネットを活用しています。また、マルチフィルムを効果的に利用することで、除草の手間を削減し、生産面積を拡大しています。
なお、これらの有機資源を活用する取り組みは、持続可能な環境調和型農業の先駆的な取り組みとなっています。2001年には部会全員で有機JAS認証を取得し、現在も継続しています。
また、多くの品目を組み合わせて、年間をとおして切れ目のない出荷を実現しています(図2)。
新規就農者の受入れにより有機農業の担い手を育成
有機栽培等で新規就農研修ができる「ゆめファーム」(JAやさと)、「朝日里山ファーム」(石岡市)と有機栽培部会、JA、行政機関等が一体となった「収益性の高い有機農業の担い手を継続して育成する仕組み」が確立されており、研修終了後にはJAやさと有機栽培部会に加入し就農しています。このように、有機農業を中心として地域の農業基盤を維持し、新しい担い手を育成・確保することにより地域の活性化に繋げています。