防除方法等の適切な選択による環境に配慮した病害虫防除
「総合防除」とは、抵抗性品種や天敵昆虫の活用、病害虫の繁殖場所となる雑草防除等の方法を適切に選択して行う、環境に配慮した病害虫防除方法のことです。例えば、イチゴにおけるハダニの防除では、定植前に苗を炭酸ガスで処理してハダニを死滅させる方法や、ハダニの天敵のミヤコカブリダニ(写真1)をハウス内に放してハダニの発生を抑える方法があります(表)。
イチゴ | ハダニ類 |
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(予防に関する措置) ・圃場内およびその周辺の雑草の防除に努める ・育苗中の防除を徹底する。また、定植前の苗の炭酸ガス処理は効果が高い ・必要に応じて、不要な下葉を除去する(判断、防除に関する措置) ・生物農薬(天敵昆虫)を活用する ・気門封鎖材を散布する ・圃場の見回り、発生予察情報等による早期発見に努め、発生初期に薬剤散布等を実施する |
茨城県では、化学農薬に依存しすぎない病害虫防除を推進するため、「総合防除」の方法を示した「茨城県総合防除計画」を令和5年5月24日に策定しました。本計画では、140種を超える病害虫について、防除方法の具体的な選択肢を示し、生産現場での活用を促す内容としています。
また、植物防疫法の改正により、病害虫のまん延を防止するために必要があるときは、農業者が守らなくてはならないルールである「遵守事項」を、総合防除計画に定めることができるようになりました。
茨城県総合防除計画においては、本県は日本一の産出額(331億円(令和3年))を誇るカンショの産地であることから、まん延すると特に影響が大きい「サツマイモ基腐病」(写真2)のまん延を防止するため、遵守事項として5つのルールを定めました。
●本県で定めたサツマイモ基腐病のまん延防止に関する遵守事項
①県が実施するまん延防止のための調査に協力する
②本病の発生を確認した場合には、関係機関へ連絡し、関係機関の指導の下、発病株を抜き取り、圃場(苗床を含む)外に持ち出す
③本病の発生圃場では、2年間、サツマイモを作付けしない(関係機関の指導の下、栽培管理する場合を除く)
④本病の発生圃場から種いもを採取しない
⑤本病の発生圃場では、発生の拡大がないことを確認する
これらは、サツマイモ基腐病のまん延を未然に防ぐとともに、万が一発生した場合でも迅速に発生源を特定し、病害の拡大を防ぐために必要な措置で、本県でカンショを生産するすべての方々が守らなくてはならないルールです。なお、遵守事項については、県の指導及び助言を経てもなお、適切な対応をとらず、農作物に重大な損害を与えるおそれがある場合には、県は勧告、命令を行うことが可能で、この命令に違反すると30万円以下の過料となる場合があります。
以上の対応により、全国屈指のおいしい茨城県産カンショを病害虫から守り、安定生産できる体制を維持して、本県産カンショの評価を向上させ、さらなる産地の発展につなげていきます。
詳細は、茨城県総合防除計画/茨城県と植物防疫法の改正について:農林水産省をご覧ください。