総務省家計調査などによると、高齢農家世帯(世帯主65歳以上の夫婦2人)の家計費は現金支出で月額約23万7千円が必要です。国民年金受給額は、月々約6万8千円(40年加入の場合)、夫婦併せて月額約14万円です。農業に定年はありませんが、怪我や病気など万が一に備える必要があります。
また、一般的に女性は男性よりも長生きすると言われています。ご主人が亡くなった場合、国民年金に遺族年金のような仕組みはありません。老後のお金の不安を少しでも取り除くために、国民年金+農業者年金で老後生活に備えてみてはいかがでしょうか?
農業者年金のポイント</3>
●農業者の方なら広く加入できます!
年間60日以上農業に従事する60歳未満の方で、国民年金第1号被保険者の方(国民年金の保険料納付免除者を除く)であれば、どなたでも加入できます。また、国民年金の任意加入者であれば65歳未満まで加入できるようになりました。
なお、農業者年金に加入する場合は、国民年金の付加年金加入が必要です。また、個人型確定拠出年金(iDeCo)や国民年金基金との重複加入はできないため、制度の違いをよく比較検討する必要があります。
農業者年金 | 個人型確定拠出年金(iDeCo等) | |
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運用は | 農業者年金基金が一元的に運用 | 加入者が運用商品を選択 |
解約は | 任意脱退はいつでも可能 | 原則、中途脱退はできない |
年金は | 終身年金 | 5~20年の有期年金(一部終身) |
積立が元本割れになった場合は | 65歳裁定時に元本割れしていた場合に マイナス分を補填する危険準備金(付利準備金)の仕組みがある |
元本割れした場合の措置なし |
事務費負担は | 事務経費(人件費や運営費など)は国が全額負担 | 事務経費は、掛け金・運用益から支出(加入者が負担) |
納税メリットの社会保険料控除は | その年に支払った保険料の全額が「社会保険料控除」の対象となる。 経営主が生計を一にする配偶者や後継者の保険料の合計額を控除できる |
その年に支払った保険料の全額が 「小規模企業共済等掛金控除」の対象となる(本人の掛金のみ) |
●少子高齢時代に強い積立方式・確定拠出型の年金です!
自ら積み立てた保険料とその運用益により将来受け取る年金額が決まる積立方式・確定拠出型です。加入者や受給者の数がどのように変化しても、その影響を受けにくく財政的に安定しており、少子高齢時代でも安心できる制度です。
毎年度の積立・運用の状況は、農業者年金基金からすべての加入者に個人ごとにお知らせします。
●保険料は自由に決めることができます!
保険料は、月額2万円から6万7千円までの間で、千円単位で自由に増減することができ、いつでも見直すことができます。
また、35歳未満で一定の要件を満たす方は、1万円からでも加入できるようになりました。経営や生活にゆとりがない時は少ない保険料を選択し、多少のゆとりができた時は多い保険料を選択して将来に備えるといった、農業経営の状況や家計の状況に合わせて、保険料の額を選ぶことができる弾力性のある制度です。
●終身年金で80歳前に亡くなられた場合は、死亡一時金があります!
加入者全員が受け取る「農業者老齢年金」は、加入者が支払った保険料とその運用益を基礎として、裁定された年金額を65歳以上75歳未満の間で受給開始時期を選択することができ、終身(生涯)受け取ることができます。これにより、何歳まで生きるか誰も予測できない老後生活において、一定の所得が確保されます(希望により60歳から繰上受給することもできます)。
仮に80歳前に亡くなられた場合は、死亡した翌月から80歳到達月までに受け取れるはずであった農業者老齢年金の現在価値に相当する額が、死亡一時金として亡くなられた方と生計同一であった遺族に支給されます。ただし、加入した年齢と亡くなった年齢や、それまでの運用益がどの程度であったかなどによって、死亡一時金は払い込んだ保険料を下回ることもあります。
●納付保険料は全額が社会保険料控除!所得税・住民税が節税に!
農業者年金に加入して、その年に支払った保険料は、同一生計の家族分を含めた全額(最高額1人当たり年間80万4千円)が、国民年金や健康保険の保険料と同じように所得税・住民税・復興特別所得税の「社会保険料控除」の対象となり、大きく税が軽減されます。
課税対象所得 | 税率 | 加入者の支払った保険料別の年間節税額 | |
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月額2万円 (年額24万円)の場合 |
月額6.7万円 (年額80.4万円)の場合 |
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195万円以下 | 15.1% | 36,000円 | 121,000円 |
195万円超330万円以下 | 20.2% | 48,000円 | 162,000円 |
330万円超695万円以下 | 30.4% | 73,000円 | 244,000円 |
●若年層には保険料の国庫補助!
国民年金第1号被保険者等の農業者年金への加入要件に加え、①39歳までに加入、②農業所得が900万円以下、③認定農業者で青色申告者等の要件を満たせば、最長20年間、保険料の国庫補助を受けることができます。
農業者年金に加入するには
制度の詳細や加入の申込みは、お住いの市町村農業委員会か最寄りのJA窓口で受け付けています。JA茨城県中央会と(一社)茨城県農業会議(電話:029-301-1236)でもご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
また、農業者年金基金のホームページでは、年金額のシミュレーションが簡単にできます。ご自身の老後生活の見直しのためにも、ぜひお試しください。