そのため県では、こうした甚大な被害を与える自然災害から県内の農業用ハウスを守るため、風速36m/sに耐えられる強靭化ハウスを推進することとし、国・県等のハウス新設の補助事業の活用に際して、ハウスの強靭化を要件とすることや、「茨城県農業用ハウス強靭化緊急対策事業」により、ハウス補強等に要する費用の助成を行っています。
また今後、甚大な気象災害等により、国が緊急に対応する必要があると認める場合に発動される「強い農業・担い手づくり総合支援交付金事業(被災農業者支援型)」において、「再建・修繕」に係る県の上乗せ補助の対象を強靭化ハウスに限定することとしました。
36m/sに耐えられる強靭化ハウスを作る
ハウスの構造からみて、鉄骨ハウスや低コスト耐候性ハウスは、すでに風速50m/sに耐えられる強度を有していますが、鹿行地域管内のハウス(1386.3ha)の約8割を占める3間ハウス、2間半ハウスの多くが風速36m/sに耐えられる強靭化ハウスになっていない状況にあります。こうした状況を踏まえ、災害から農業者の経営を守るため、一刻も早い、強靭化ハウスに適合したハウスへの建て替え(新設)またはハウスの補強が必要となっています。
ハウスを強靭化するための進め方
ここからは、既存ハウスを強靭化する手順を紹介します。
①ハウスの点検
既存ハウスの補強にあたっては、農業者自らが強靭化ハウス参考基準(ハウス構造関連、ハウス補強関連)に照らして、自分のハウスを点検し、改善点を明確にします。
②効果的な補強方法の決定
改善点が明らかになった段階で、無理のない範囲で実際にできる効果的な補強方法を決定します。
【補強ハウスの絞込み】
構造が弱いハウス、風が強く当たるハウス、その他として農ビからポリに変えたハウスなどといった視点から、補強の優先順位の高いハウスを絞り込みます。
【補強対策の選択】
改善点の中で、最も効果が期待できる補強対策を選択します。ハウス構造に手をつけると、高いコストがかかることから、ハウスを補強することを重点に選択します。
③ハウス補強の実施
最後に、施工業者に委託するか、または自分で施工するかを決めてハウスの補強を行います。自力施工のメリットは、「コストが抑えられる」「多くの農業者が取り組める」「きめ細かな対応が可能である」といったことから、自力施工は、災害防止の効果が大きいと考えます。
デメリットは、「自分を含め雇用者の労力の負担が大きい」「仕上がりに対する補償がなく、自己責任で実施しなければならない」ことがあげられます。
強靭化ハウス参考基準
項目 | 基準内容 |
---|---|
パイプ径 | 22.2mm |
アーチパイプ肉厚 | 1.2mm |
アーチパイプ間隔 | 50cm以内 |
地中への埋め込み | 50cm以上 |
桁行直管本数 | 5本以上(棟天井1本、母屋パイプ両側2本、肩部両側2本) |
連結方式 | 金属固定(線材は不可) |
項目 | 基準内容 |
---|---|
らせん杭 (またはスクリュー管) |
2m間隔以内で設置 |
妻面の補強 | ①強度の高いパイプ(パイプ径42.7mm以上の直管または角パイプ等) 縦2本、横1本以上入れる。 ②方杖を2本入れる。 |
筋交いの設置 | ・ハウスの妻面に筋交いを設置(直管1.5本接続したものを両面で4本使用) ・ハウスの奥行約12~20mごとにクロス筋交いを設置 (直管3本接続したものを2本使用、クロス筋交いの間隔は0~8m) ・筋交いの下端部は30cm以上埋め込む。 |
追加補強対策 | タイバーまたは補強アーチ ・タイバーを1.8~2.0m間隔(アーチパイプ4本ごと)で設置 ・ダブルアーチを2.7~3.0m間隔(アーチパイプ6本ごと)で設置 ※筋交いがない場合は、1.8~2.0m間隔(アーチパイプ4本ごと)で設置 (・アーチパイプ増設(2.7~3m間隔で1本増設)) |
「茨城県農業用ハウス災害被害防止マニュアル」(茨城県)に基づき作成
具体的な強靭化の方法は、YouTubeで動画を配信中です。
「ハウス強靭化の推進」をぜひご覧ください。