令和4年の本県産ナシの栽培面積は882ha、生産量は16,500t、令和3年度の産出額は69億円と、面積、生産量、産出額ともに全国第2位となり、全国トップクラスのナシの名産地となっています。
昼夜の寒暖差が大きい気候や、豊かな水、恵まれた土質がナシの栽培に適しており、筑西市、下妻市、かすみがうら市、石岡市、土浦市、八千代町を中心に、県内各地で生産されています(図1)。
7月上旬からのハウス栽培の「幸水」を皮切りに、「豊水」、県オリジナル品種「恵水」「あきづき」「新高」「にっこり」など、さまざまな品種が入れ替わり、おいしいナシを10月末頃まで楽しむことができます(写真・図2)。
旬の時期になると産地を中心に県内各地では「ナシ狩り」も大人気で、直売所等へナシを求めて県内外から多くの観光客が訪れます。
また、各産地ではナシを使用した加工品も開発されており、お菓子やリキュール等が一年を通して販売されています。
県オリジナル品種「恵水」
茨城県農業総合センターが「新雪」と「筑水」を交配して育成した、県オリジナル品種「恵水」は、平成28年度より本格出荷され、徐々に生産量が増えている期待の品種です。
大玉で食べごたえがあり、酸味が少なく深い甘みが感じられ、香り高くみずみずしく、さわやかな食感も魅力です。
「恵水」はそのおいしさが消費者や実需者から高く評価されており、徐々に認知度も高まってきています。
高品質なナシの生産に向けて
ナシ栽培には、せん定や着果管理、病害虫防除など、一年を通したきめ細やかな管理が求められます。
各産地では美味しいナシの生産に向け、栽培講習会による栽培管理技術の向上や、出荷前の目揃会による品質の高位平準化に取り組んでいます。
また、普及センターでは、将来につながる産地づくりとして、魅力あるナシ経営のモデルを示すことで、後継者や新規参入者の確保につなげる取り組み等を実施しています。
今後の取り組み
県では、儲かる農業の実現や多様な顧客ニーズに応えるために、ナシのブランド化の推進や海外に向けた輸出の拡大等、産地の取り組みを支援しています。
ブランド化の推進では、県産ナシのイメージ向上に向け、「恵水」を核に、高級果実専門店での販売定着や情報発信を実施しています。
また、多様な顧客ニーズに応えるため、選果施設への光センサー選果機の導入や、小箱出荷・産地でのパッケージングなど、高単価販売に向けた各産地の取り組みを支援しています。
茨城県では、今後も質と量ともに日本トップクラスのナシ産地としてさらなる発展を目指します。