水戸市植物公園で30年以上付き合っている植物の中に、メディニラ マグニフィカがあります。フィリピンに自生する着生植物で、「熱帯の宝石」と呼ばれるほど美しく、豪華な花が魅力です。
ノボタン科メディニラ属で、茎は堅く翼があって四角形。30cmほどの艶やかな葉をもち、枝先からブドウの房のような花序が垂れ下がると、下から順に2cmくらいの小花が多数咲いてきます。マグニフィカというのは「大きい」を意味するだけあって花も大きいですが、植物体も大きく栽培するには場所が必要です。熱帯植物で冬の最低温度は15℃が目安。一般家庭で育てるにはハードルが高い、憧れの花と言えましょう。
温室再整備工事に伴い大温室からバックヤードに大鉢を移動しましたが、葉数が少なく古い幹も傷んで瀕死の状態でした。これは一大事と、まず根の張り具合をチェックし、鉢底には水はけをよくするため竹炭を入れ、もみ殻燻炭を混ぜた水はけが良い用土で植替えました。痛んだ葉や枝は思い切って切り、水をあげすぎないように注意しながら優しい光条件で管理をしました。生育期は有機質肥料の置き肥に加え、かなり薄い液肥を葉面散布。手をかけたおかげで艶々した葉数が増えて元気回復。満開に咲く日が楽しみになりました。どの植物もそうですが、気にかけて手をかけないと弱ってしまうことを、改めて痛感しました。
植物の管理でもう一つ大切にしたいのは、温室の掃除です。具合が悪くて葉を落とす植物たちのSOSサインを見逃してはいけないためです。それは筑波大学の農場で恩師に教わったこと。今も私は実践しています。
メディニラは動画「園長の部屋No.23」でも紹介しています。