4月からNHK朝の連続テレビ小説「らんまん」が始まり、全国の植物園は喜びで盛り上がっています。日本の植物学の基礎を築いたと言われる牧野富太郎先生がモデルで、毎朝植物が登場しその魅力も解説してくれるのですから、植物ファンが急増するはずです。
5月末に牧野先生の出身地である高知県を訪れたらノボリやパネル、ご当地グッズなどで、県内は牧野先生一色で染まるほど盛り上がっていました。
牧野先生の素晴らしさはたくさんありますが、植物画を描く腕前が素晴らしいと思います。「牧野式植物図」と言われる描き方は、花はもちろん結実した様子や細部も精密に描かれています。本物を忠実に再現する観察力があるからこそ、美しく迫力があるのでしょう。
私のお気に入りの植物図は、食虫植物のムジナモです。明治23(1890)年、28歳の牧野先生はヤナギの仲間の果実を採集しに出かけた江戸川河川敷で、水面に浮かぶ奇妙な水草ムジナモを発見します。モウセンゴケ科に属す浮遊性の水草で、2枚貝のような葉を持ち、刺激によって葉が開閉し、ミジンコなどの動物プランクトンを捕食する食虫植物です。
日本で初めての発見者となった牧野先生はムジナ(タヌキやアナグマ)の尾に似ているのでムジナモと名付けました。欧州やインド、オーストラリアの一部で自生するものの、花が咲くのは日本産のみ。
ムジナモの開花した花が描かれた先生の植物図は、世界の植物学者を驚かせたのです。
ところでこのムジナモですが、国内の自生地は開発などでほぼ消滅。栽培は難しく、水戸市植物公園では栽培の達人に秘訣を聞いて栽培をしています。
大きな桶の底に赤玉土大粒を一面に敷きワラと土付きの鉢植えとしてサラセニアを入れ、水を入れます。日当たりの良い場所に置き、ミジンコがいる池の水をこまめに足します。
私は出勤すると必ずムジナモの様子を見に行きますが、ある日、細い藻が発生してムジナモに絡まっているではありませんか。これでは順調に生育できない!そこで細いブラシで藻取りを始めました。スタッフの協力もあって、最近では順調に生育しています。
ムジナモは1日花で、夏の正午ごろ2〜3時間しか開花しないと言われます。そう、滅多に花は見られないのです。残念ながら私はまだ見たことがありません。
花咲く様子を写真に収めたいんだけど〜と水に浮かぶムジナモを見つめています。
●水戸市植物公園からのお知らせ
1 牧野富太郎先生ミニ展示を開催中!(~9月末)
2 主人公たちと一緒に記念撮影をしよう
NHK連続テレビ小説「らんまん」パネル展(7月11〜17日)
水戸植物公園のイベントカレンダーはこちら
●(公社)日本植物園協会からのお知らせ
日 時 | 2023年7月30日(日) 13:00~15:30 |
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場 所 | 日比谷図書文化館大ホール |
参加費 | 無料 |
受付 | 6/26(月)~7/17(月)※定員になり次第締め切り |
募集人数 | 200名(一般 150名、植物園協会会員 50名) |
内藤記念くすり博物館宛に申し込む。申し込みの際、牧野先生や植物について質問をしてくれた参加者に特別プレゼントがあります。