水戸市植物公園が開園して間もない頃、植物コレクションとして何を集めようか悩み、英国のキューガーデンで出会ったサルビアを思い出しました。学生時代にキューガーデンに行った時は、青い花が咲くサルビア パテンスに驚き、それから8年後に再び訪問した時は新しく設置されたサルビア見本園を見て「そうだ、私もこんなサルビアガーデンを作ろう」と、ヒントをもらいました。その後「これがサルビアなの?」と言われる珍しい種類の収集を始めたのです。
最初に入手したのはメキシコ原産のSalvia involucrataサルビア インボルクラタ。種小名はinvolucrata(包み)が語源で、花が咲く前の蕾の姿を見ると納得します。英名はローズリーフセージで、葉に触れると甘ったるい独特の香りが漂います。花が穂状にまばらにつくタイプを最初に、10年後くらいに上部に固まって球状に咲くタイプを入手しました。
初夏から咲き始めますが本格的に開花するのは秋で、濃いピンクの花の色が大変美しい華やかなサルビアです。草丈は2m近くなりますから、路地植えで育てるのが理想です。
私は、穂状タイプがお気に入りで、薄ピンクを帯びた苞から濃いピンクの花びらが現れると「今年も咲いたね」と、声をかけたくなります。
今年の夏は猛暑で日差しが厳しく、葉が一部焼けてしまいました。以前は樹木の下に植えていましたが、栄養分を樹木にとられるので株が痩せ気味でした。でも夏は、やや木陰の場所が理想です。種はできたことがありませんから挿し木で増やします。
念願だったサルビアガーデンは単なる品種展示場ではなく、子どもたちに興味を持ってもらう仕掛けを工夫しました。 新しくサルビアの仲間入りをしたローズマリーで猫やスワンのトピアリーを作ったり、自転車に乗った素焼き鉢のポットマンを設置し、楽しいガーデンを演出しています。
サルビアの花に蜂が蜜を求めてやって来ると雄しべが下がって花粉が身体に着く仕組みは、パネルで紹介しています。理科の観察にもチャレンジしてほしい「子どものための庭」でもあります。ぜひ散歩がてら、のぞいてみてください。