春先に花が咲くと夏前には地上部が枯れ、一年の大半を地中で地下茎や球根の姿で養分を蓄えて過ごす、そんな植物を総称して「スプリング エフェメラル」と呼びます。意味は「春のはかない命」だそうですが「春の妖精」とも言われるので、私は好んで後者で呼びます。フクジュソウ、カタクリ、イチリンソウなどのほか、セツブンソウ(Eranthis pinnatifida)もその1つです。
セツブンソウは日本原産で、キンポウゲ科セツブンソウ属の多年草です。草丈は10cm 程度でとにかく小さく花が愛らしい。一度見たら、あなたもファンになるはず。
水戸市植物公園では節分の頃から芽が動いてきます。花開く早春は日当たりがよい場所で、休眠する夏は日陰になって涼しいのが理想なので落葉樹の下に植えました。カメラマンが小さな花を撮影しやすいよう、高さのある花壇に植えてあります。
細かく切れ込んだ葉が開くと、先端に可憐な白い花が1輪咲きます。白く透けて見える5枚の花びらは萼片で、本来の花びらは退化しています。その花びらは6枚以上の場合もあります。先端が2股に分かれた黄色い蜜腺が雄しべを囲むように着き、雄しべの先端の葯は鮮やかな紫色。配色も見事な花です。栽培は、環境選びが重要。夏に球根を腐らせないことです。
鉢で栽培する場合は秋に球根を植えます。ミジンを抜いた赤球土(小粒):鹿沼土(小):腐葉土=6:3:1に1割程度の籾殻燻炭を混ぜたような排水のよい用土と、深めの鉢を準備します。鉢底に炭を入れたら、球根の上下を間違えないように注意して球根の3倍の深さの位置に植えましょう。
水やりは多湿にならないよう注意し、軽く湿っている状態を保ち、極端に乾燥させません。冬に霜が降りる所は、落ち葉を薄めにかけて霜よけにするとよいです。
2月頃、芽が動いてきたら天気の良い午前中に薄めの液肥を水やり代わりにあげ、開花後はお礼肥に草木灰を施します。
花が咲きそろった姿はなんとも美しいものです。セツブンソウが群落で咲く姿を夢見て、栽培してはいかがでしょうか。