2021年の秋、ムラサキ科の「エキウム ウィルドプレッティ(Echium wildpretii )」を6株購入しました。2024年の初夏に、全国の植物園が水戸市植物公園を視察するので、その時に咲いていたらいいなあ、と軽い気持ちでしたが、よく調べると栽培は難しく、健全に育つか不安になりました。
スペインのカナリア諸島原産で、小さな赤い花が螺旋状に咲いてタワーのような花穂になり、その外見から、宝石の塔(Tower of Jewels)と呼ばれ、花が咲くのは発芽してから2年目と言われます。とにかく高温多湿に弱く、夏を越すのが難しい植物らしい。光は大好きなので日当たりが良くて風通しが良く、水はけが良い場所が理想的です。
購入したのは10月8日。まず冬越しをどうしたら良いか?が第一関門でした。冬はマイナス5℃くらいまで耐えると言われ、ある程度の寒さにあてることが大切のよう。でも霜が降りる場所は避けた方が無難。寒さが心配で温室で育てては?とも思いましたが、水をあげるタイミングが難しいのでやめました。
そこで選んだ場所が、観賞大温室の壁沿いにあるレイズドベッドです。高さのある花壇なら風通しが良いし、温室のコンクリート壁は冬に暖かく、霜がほとんど降りません。植え穴には炭を入れ、排水の良い用土で株を植えました。
幸い寒さによる害はなく、2022年4月下旬には冬越しした株から花穂がグングン伸びて1m以上になりました。赤い花が螺旋状について、まさに「宝石の塔!」一緒に植えたハンネマニア(メキシカン チューリップポピー)などの黄花と色合いが良い花壇になりました。花が終わった株はしばらく放置し、茶色く見苦しくなると抜き捨てました。
2023年春、この花壇を寒さに強いサボテンのキンシャチやアガベなどを中心にした花壇に植え替えました。エキウムは、タネがこぼれて自然に発芽し、株がコンクリートの壁にピッタリ身を寄せてかなりの数が生育していました。移植して鉢上げした株は枯死したので、何もしないほうがいいだろうと、なるべく手を加えないで放置するよう心がけました。
そして全国の植物園の皆さんをお迎えする2024年、4月上旬から上部が伸び出し4月25日には赤い花が咲き始めました。5月12日くらいまで鑑賞できる美しさでしたが、視察日は花が終わった状態でした。
「(咲いた後を見て)すごいな、関西では寒さに十分あてなかったから、咲かない植物園が多かったんですよ」と伺い、ちょっと嬉しくなりました。
そして現在、咲き終わった株が15株、葉が茂っているのが1株ありますから、来年は1株咲く予定。春に自然発芽してくれれば、再来年は見事なエキウム花壇が見られるでしょう。