デルフィニウムの花を初めて見たのは今から40年以上前、大学4年生の初夏に訪れた英国ウィズレーガーデンです。レンガ塀に囲まれヒッソリした庭に見たことがないブルーの花が凛として咲いていました。当時は日本人がほとんど行かない、人の気配をあまり感じない植物園でした。庭で咲く姿は清楚で美しく、私にとって忘れられない憧れの花になりました。
そのあとに出かけたチェルシーフラワーショーでは、デルフィニウムの長い花穂が咲きそろった艶やかなブースを発見!球根ベゴニアのナーセリーで有名なブラックモア アンド ラングドンのブースだったようですから、展示への気合いが違います。若い時に本当のフラワーショーを見ることができたことは、今も宝物のような貴重な思い出です。
ところでデルフィニウム(Delphinium)とは、キンポウゲ科ヒエンソウ(デルフィニウム)属で、青、紫、白、桃色などの花が長い穂状に咲きます。原産地はヨーロッパのピレネー山脈からアルプス山脈、シベリア、中央アジア、中国などで、標高1300〜2300mの山岳地帯ですから光は好きだけど冷涼な環境を好みます。日本では5〜6月に開花し、梅雨から夏の高温多湿に耐えられず枯れるので、宿根草ですが1年草扱いされます。
名前の由来は、蕾の形がイルカに似ていることからギリシャ語のデルフィン(イルカ)にちなむそう。和名はオオヒエンソウ(大飛燕草)で日本では燕が飛ぶ姿とは、国によって花のイメージが違うのは面白いですね。
昨年、水戸市にある英国庭園七ツ洞公園を全国の植物園関係者が視察することになり、これはガーデンにデルフィニウムを植えるしかない!と、市内農家に苗を作ってもらい4月に植えました。5月に無事開花し、2番花もよく咲きました。それなら今年は種を直接花壇に播いてみようか、ということになり、育てやすいエラータム系オーロラシリーズの種を購入しました。発芽適温は15〜20℃なので9月ではまだ早く、10月16日に種を播きました。
最初に園芸培養土を高めに盛り土し、上部を平にならしたらジョウロで水を撒きます。種が重ならないよう間合いを取って播き、覆土はフルイで用土を上から薄くかけ、出来上がり。不織布をかける場所と裸地の2パターンにしました。
12月7日には本葉が出ました。裸地の場所は霜が降りても被害がなく、引き締まった苗に見えました。霜柱ができると苗が屋外に放り出されるので、落ち葉で霜よけをして様子を見ています。
さて来年、元気に花が咲いてくれるでしょうか?暑さに弱いですが冬の寒さは耐えられそう。女子大生の頃に見た憧れのイングリッシュガーデンを再現中です。