6月の声を聞くと、梅干しや梅シロップなどの梅仕事が欠かせません。子供の頃に祖母の梅干しづくりを見て、私も祖母のように手際よく梅仕事ができるようになりたいと思ったものです。
祖母は手を止めることなく、梅の扱い方などを話してくれました。そして私は、祖母の手伝いをすることで梅仕事を身につけたような気がするのです。出来上がった梅干しが食卓に並ぶと、子供の頃からの我が家の味とともに、祖母への感謝の気持ちもわいてきます。
また、知人からお裾分けの梅干しを頂くと、それぞれの家庭の味を楽しめることも嬉しいもので、知人との梅干し話に花が咲きます。
手間ひまかけることでできあがる品は身体にも心にも優しいものだと、手仕事の良さを見直す機会にもなります。
さて、暑い夏を乗り切るための食の知恵はたくさんあるでしょう。暑さで食欲低下の症状が出る時などは、保存食や薬味などを上手く使うことで食欲が増します。
今回はニンニクをたっぷり使うパスタ料理と、梅干しを使う和菓子をご紹介します。
パスタ料理に使うソラマメは、タンパク質やビタミンB群や食物繊維が豊富な旬の豆です。また、タコは低カロリーでタンパク質やビタミン類、アミノ酸の一種であるタウリンが豊富な海の幸です。暑さで疲れた身体へのバランスよい一品でしょう。
羊羹には梅干しを使います。梅干しの塩味と酸味が口当たりよく、暑い時期のおやつにぴったりです。
ソラマメとタコのペペロンチーノ
●材料(1人分)
パスタ 70g
A
水 1ℓ
塩 小さじ2
ソラマメ 50g(15粒程)
ゆでたタコ 60g
ニンニク 2片
赤唐辛子 1本
オリーブ油 30cc
パスタのゆで汁 90cc
●作り方
①ニンニクは皮を剝いて、薄切りにする。
②ソラマメはさっとゆでて薄皮を剝き、タコは一口大の乱切りにする。
③フライパンにオリーブ油と①と赤唐辛子を入れ中火で熱し、フツフツと沸いてきたらフォークなどでニンニクを押しつぶしニンニクの繊維を断ち切る。
④鍋にAを入れ沸騰させパスタを固めにゆでて、ザルにあげておく。
⑤ ③に④のゆで汁を加えてひと煮立ちさせる。
⑥ ボールに⑤を移して、ハンドミキサーで全体が白っぽくとろっとするまで攪拌する。
⑦ フライパンに⑥を入れ弱火で熱し、②と④を加えてよく混ぜながら加熱する。
⑧ 皿に⑦を盛り付ける。
※オリーブ油とニンニクを熱し、よく攪拌することで、両者の乳化がおこり、クリーミーでニンニクの臭みも気にならなくなります。また、ニンニクによる胃もたれなども抑えられます。
※ハンドミキサーではなく、泡立て器でよく攪拌してもよいです。
※田植えが終わる夏至から7月の初め頃にかけて、植えた稲の根がタコの足のようにしっかりと田に広がり根付く事を願い、タコを食する風習がある地域もあります。
梅干し羊羹
●材料
梅干し 3~4個
粉寒天 2g
水 260cc
砂糖 30g
白あん 200g(市販のもの)
●作り方
①梅干しはつまようじなどで5~6か所穴を開ける。
② 鍋に①と多めの水を入れて沸騰させゆでこぼす。もう一度ゆで、沸騰したらゆで汁ごと密封容器などに移す。
③ ②を一晩冷蔵庫で保存し、ザルにあげてよく水気をきり、果肉を裏ごしする。
(果肉は柔らかいのでフォークでよく潰してもよい)
④鍋に粉寒天と水を入れて中火でよくかき混ぜながら煮溶かし、砂糖を2回に分けて加え、沸騰するまで煮立てる。
⑤ ④を火からおろして③を加えよく混ぜ、中火にかけて再度煮立ててから弱火にする。
⑥ ⑤に白あんを半量ずつ加えてよく溶かし、水で濡らした流し箱などに流し入れて冷やし固める。
⑦ ⑥を切り分けて器に盛る。
※ほのかに梅干しの塩味と酸味を味わえる羊羹です。
※白あんは白インゲンマメから手づくりするのもよいですが、ここでは作り方は記載いたしません。
※羊羹の色が薄い時は、少量の食紅で色付けしてもよいでしょう。