茨城県では、明治30年頃からクリの栽培が始まったとされており、現在では県内各地で栽培されています。
本県における令和4年のクリ栽培面積は3,190ha、生産量は3,670t、令和3年の産出額は20億円と、面積、生産量、産出額ともに全国第1位のクリの名産地となっています。
昼夜の寒暖差が大きい気候や、恵まれた土質がクリの栽培に適しており、県内では、笠間市、かすみがうら市、石岡市、小美玉市、茨城町などを中心に県内各地で生産されています(図)。
農林水産省「令和3年度市町村別農業産出額」より
2か月の間楽しめる、秋の味覚
9月上旬ごろからの早生品種「丹沢」や「ぽろたん」の収穫を皮切りに、中生品種の「利平」や「筑波」、晩生品種の「石鎚」や「岸根」と、品種が移り変わりながら10月下旬ごろまでおいしいクリを楽しむことができます(写真)。
生栗は傷みやすいので、なるべく早く食べるのがおすすめです。保存する場合は、クリが乾かないようにしながら低い温度で保存することがポイントで、冷蔵庫で1週間程度は保存できます。
また、クリは青果としての販売だけではなく、6次産業化による商品開発も活発に行われており、焼き栗や甘露煮をはじめ、スイーツやジェラート、カレーなど、様々な加工品が一年を通して楽しめます。
高品質なクリの生産に向けて
クリの栽培においては、適切な整枝・せん定や土壌管理が求められます。
各産地では美味しいクリの生産に向け、せん定講習会による栽培管理技術の向上に取り組んでいます。
また、クリ栽培において手間がかかるのが収穫作業です。収穫の時期には、クリ生産者は毎日圃場を歩き、手作業でひとつひとつの果実を収穫しています。
そのため、機械で収穫できるクリ収穫機の開発も行われ、生産性の向上が期待されています。
質と量ともに日本一のクリ産地として
県では、儲かる農業の実現のために、クリ産地の維持・発展や付加価値販売を支援しています。
産地の維持・発展に向けては、高樹齢化が進む圃場の若返りを図るため、改植を支援するとともに、優良品種の導入を推進し、品種特性に応じた栽培方法の普及定着を図ることで生産力の向上を支援しています。
また、付加価値販売の推進では、品種特性を活かせる品種においては、品種別出荷を推進するとともに、消費者等に対する品種特性の周知を実施しております。
茨城県では、今後も質と量ともに日本一のクリ産地としてさらなる発展を目指します。