「なんて美しい花、思わず写真を撮りたくなる!」そんな華やかな花であり、ちょっと不思議な形をした花がトケイソウです。
トケイソウは中南米が原産の蔓性植物です。花の形が時計の文字盤に似ているから親しみを感じて、思わずジッと見つめたくなります。クダモノトケイソウ、オオミノトケイソウ、チャボトケイソウなどがあり、どれも果実にクエン酸、リンゴ酸、果糖などを含んで、独特の風味があります。
チャボトケイソウは、鎮静や鎮痛作用のあるハーブとして有名です。葉や茎を北米の先住民が、用いていたそうです。神経が高ぶって眠れない時、自然な眠りを誘う特性を持っているそうで、19世紀の米国では、不眠の治療薬に用いられていました。
水戸市植物公園の熱帯果樹温室で咲くのはオオミノトケイソウで、別名をブラジルトケイソウ(Passiflora alata)といいます。赤紫色の花の中央部には、濃い紫と白の細い糸状のものが放射状にあって、これは副花冠と言われるものです。花の美しさを引き立たせる貴重なアクセントになっています。
花が咲いた時に人工的に受粉させればやがて緑色の果実が実り、紫色に熟せば2つに割ってスプーンで生食するとよいでしょう。
熱帯果樹温室では最低温度が10℃を下回らないよう注意していますので、冬でも花が咲きます。どの部分にも光がよく当たるようにしたいので、葉が茂りすぎたら重ならないように、蔓を切って整理します。
葉が混みすぎると、カイガラムシがつきやすくなるので要注意です。 肥料が不足すると花付きが悪くなるため、生育期はこまめに与えます。そんな管理をして咲かせる美しい花、ご来園の際はぜひ撮影してくださいね。